最北端・宗谷岬
70キロ何もない道
2019.9/9(月)【34日目】
今日はいよいよ宗谷岬へと向かう。
旅のゴールだ。とうとうこの日がやってきた。
いよいよ旅が終わりを迎える。
朝4時に目が覚める。太陽はまだ出ていない。
6時からセイコーマートが開くのでそれに合わせて準備をする。
序盤に待ち構えるのはサロベツ原野。
70キロ何もない。地平線のように果てしない道が続いていく。
そのため、ラストコンビニでしっかりと補給道具を整えてから向かった。
ここからサロベツ原野だ。
旅の最終日。ゴールしたらどんな景色が待っているのだろう。
勢いよく自転車をこぎ始めた。
いざ走っていくとその景色に圧倒された。
有名なオトンルイ風力発電。
あいにくの曇りでレンズがぼやけているが、圧巻の大迫力だった。
ここは日本なのか。
サロベツ原野を走っているとまるで異国に来たかのような錯覚に陥った。
前をみても後ろをみても、どこまでも続く地平線。
まさに「原野」だ。
車通りも少なくほんとうに世界に自分ひとりだけがいるような感覚になった。
途中、コンビニはなく自分で休憩するタイミングを考えながら進んでいった。
座る場所もないので、道端で地べたに座って休憩した。
そして…
なんとか70キロ走り切った!
さあ、いよいよ宗谷岬へと向かおう。
ゴールまで残りたったの30キロだ。
最北端・宗谷岬へ
しばらく進んでいくと看板が見えてきた。
「宗谷岬まで残り20キロ」と書いてある。
もうここまで来たのか…
自転車のスピードが思わず上がっていく。
宗谷岬まで残り10キロ。
いままで走ってきた距離は約2800キロ。その旅があと10キロで終わる。
猛烈な追い風も相まって、自転車のこぐスピードは時速40キロに到達しようとしていた。
はやいはやい。あっという間に10キロを駆け抜けた。
そして…
宗谷岬の記念碑が視界に入る。
思わず歓喜のガッツポーズ。これほど嬉しかったことはない。
悲願の宗谷岬に到着!!
自転車を止め、最北端の証である記念碑に駆け寄った。
ついに自転車で日本縦断を達成!!!
鹿児島の最南端である佐多岬からついに自転車でここまで来た。
自分は日本縦断を達成したのだ。なんだか信じることができなかった。嘘みたいだ。
ここで湧き出てきたのは不思議にも
「ああ、旅が終わってしまったんだな…」
と哀愁にも近い感情だった。
毎日自転車を100キロこいで、目的地の宿までヘトヘトになりながら到着する生活をはや一か月。
毎日が達成感の連続だった。
旅がはじまる前に思い描いていたのは宗谷岬にたどり着いたときの圧倒的な達成感。
想像通りの達成感を感じることはなかったが、この旅の過程でもう十分すぎるほど達成感は感じていた。
いい意味で自分の予想を裏切ってくれた。
「無事にたどり着いてよかった…!」
ホッと一息をついた。
それからは、せっかく来たので宗谷岬を満喫することに。
宗谷岬は北緯45度らしい。
佐多岬が北緯31度なので自分は北緯14度も北上してきたことになる。
なんだかよく分からないが凄そうだ。
その後は有名なラーメン屋である間宮堂へ。
イチ押しメニューの塩ラーメンを注文。
ホタテが大きくてめちゃくちゃ美味しかった。日本縦断を達成した達成感と相まってラーメンの味がとても身に沁みた。
しばらく宗谷岬でボーっとしてのどかな時間を過ごした。
旅が終わりを告げたのだ。
肩の荷がスーッと下りていったのを感じた。
さあ、帰ろう。
名残惜しくも宗谷岬を後にした。
今度は自分の子供を連れて10年後でもまた来よう。
帰り道
今日は稚内市のゲストハウスに泊まる。
行きが猛烈な追い風ということは、帰りはもちろん猛烈な向かい風。
宿までの残り30キロを少しずつこいでいった。
目標を達成したあとのこの30キロは地獄のような時間だった。
もしかしたらこの旅で一番キツイ30キロだったかもしれない。
大変だったがなんとか宿に到着。
その後は温泉にゆったりと浸かり…
自分へのご褒美として、奮発して海鮮丼を食べた。
その後はゲストハウスに戻り、同じ宿泊客と楽しい時間を過ごした。
泊まったゲストハウスは面白いゲストハウスだった。
スナックのようなカラーボールでスポットライトに当たりながら、各自自己紹介をした。
その後は宿泊客みんなで肩を組んで、松山千春の「大空と大地の中で」を熱唱。
セイコーマートに行くとよく流れているアノ曲だ。
個人的に旅が終わったこともあり、旅のエンディングソングみたいな感じがした。少し泣きそうになった。
一緒に泊まった人の中には留萌のゲストハウスで出会った日本一周中のチャリダーも。
日本縦断したことを自分のことのように喜んでくれた。
人の暖かさを感じるめちゃくちゃ楽しい宿だった。
いよいよ日本縦断を達成した。
あとは実家に帰るだけだ。いい旅だった!