とーるがとおる

自転車で日本を通る【日本縦断体験記】

箱根と宗〇勧誘

一番の山場

2019.8/25(日)【19日目】

 

今日はとうとう箱根を越える。

この旅一番の山場といっても過言ではない。

 

海抜0メートルから20キロほどで一気に900メートル近くまで駆け上がる。

待っているのは傾斜が20%とえげつない激坂だ。(傾斜は5%でもきつい)

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↑今日のルートの高低差。やばい。

気分は強豪校に試合を挑む弱小校のような心境だ。

これから辛いことが確定で待ってると思うと、どうにも気分が上がらない。

 

とりあえず出発し、ゆっくりと自転車をこぎ始める。

テンションは少し落ち込み気味だ。

 

しかし、道中に子供たちが車の窓を開けてがんばってくださーい!!」

と声をかけてくれた。

 

この前アイスを差し入れしてくれた人といい、なんてベストタイミングなのだろう。

「箱根なんて敵じゃない。登り切ってやる!」

きっかけなんて些細なことだ。元気が出た。

 

天下の箱根

ついに坂道に入る。どんどん登っていく。

誰しもチャリを全力でこいだときの足に乳酸がたまるダルい感じを経験したことがあるだろう。

ヒルライミングはそれが一時間、二時間と延々と続く。

 

分岐点にさしかかる。

ナビを見ると近道のルートを指していた。

向かってみると先ほどとは比べものにならないほどの激坂。山で近道なのだから当たり前だ。

 

結局、近道の方へ進むことに。

つらかった。めちゃくちゃがんばった。

なんとか激坂を登り切った。

 

しかし、その先にあったのは…

 

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工事中の看板だった。

先ほどの分岐点まで引き返しである。

ナビに文句を言ったところで現状がどうにかなるわけではない。

ガン萎えしたが、さっさと引き返した。

 

そのあともなんとか登り続ける。

気づけば2時間。紆余曲折ありつつも…

 

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箱根峠(846メートル)踏破!

なんとか登り切った!!


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お昼ごはんは山かけうどん。

箱根を越えた達成感とともに噛み締めた。

 

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それから、箱根神社へと向かっていく。

鳥居がみえてきた。


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到着!


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おみくじを引くと、旅行「遠き方利益多し」とあった。

鹿児島から北海道まで自転車で移動しようとしている自分はこの旅が終わったら、とんでもない利益があることだろう。

 

それから箱根神社を出発。

小田原へと向かう道中で看板を発見!


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国道一号最高地点(874メートル)にも到着!!

 

いよいよ下りに入る。

今日は日曜日ということもあって車通りが多い。

下りの途中に車の渋滞に巻き込まれるという危険な場面もあったが、なんとか無事に箱根を下ることができた。

 

宗教〇誘

箱根を無事に下り、小田原の宿へと到着。

時刻は14時。

宿のチェックインは16時からだったので、あと2時間も暇になった。

 

宿の前でどうしようか悩んでいると、

「自転車で日本縦断!?えっすごい!!」

と、何やら声が聞こえ、主婦2人組が話しかけてきた。

 

しばらく路上で旅の経緯など雑談していたが、

「詳しく話聞きたいから、お茶でもしない?」と、その2人に提案された。

ちょうど2時間暇だったのでこれは好都合だと思い、快く承諾した。

 

そして、サイゼリヤへと向かう。

お金に余裕があるわけではないので、ドリンクバーを頼むかどうか迷っていると、

「ドリンクバーも頼みなよ!」

と、向こうが言ってきた。

 

(これは奢ってもらえる流れだぞ!ラッキーだぜ…)

そう感じたのでハンバーグとドリンクバーを注文した。

 

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それから1時間ほど雑談をした。

 

しかし、唐突に流れは変わる。

 

急に主婦2人組がこう言い出す。

「君が今まで無事に来れたのは運命なんだよ!」

(ん?なんか雰囲気が変わったような…)

最初はそんなような認識だった。

 

しかし、話が進むにつれて話の内容はどんどん宗教色を帯びていき、その2人組が所属している団体の話になってしまった。

 

(え…これもしかして宗教勧誘じゃね…?)

 

気づいたときにはもう遅い。冷や汗が出てきた。

今すぐに宿に駆け込みたいが、宿のチェックインまではあと1時間。

 

頭のなかでゴングが鳴る。

殺るか、殺られるか。宗教勧誘との1時間デスマッチのはじまりだ。

 

「そういえば名前聞いてなかったね、なんていうの?」

ふと名前を聞かれた。

「えーと、たk…」

思わず本名を言いそうになったが、それはなんとなく危険だと思ったので、とっさに偽名を使うことに。

 

(高橋…いやそれは数が多い!怪しまれるかも…ってやばい、考えてる時間がない!)

 

「佐藤です。」

 

よりによって、とっさに出てきた名前が佐藤だった。日本で一番多い名字だ。

自分のアドリブ力のなさにびっくりした。

(全国の佐藤さんごめんなさい。)

 

怪しまれることはなかったので、なんとかギリギリセーフ。

「佐藤くんね!」

自分の名前と違う名前で呼ばれるのは変な感じがした。

 

それからは会話の所々で、

「僕はそれとは違った考え方ですね。」

「人それぞれだと思います。」

と、遠回しに反論してみたが相手は自分の思想を信じ切っていて、一向に聞く耳を持たない。

延々とその思想がどれだけ素晴らしいか語ってくる。

 

相手の話に一応興味は示すも賛同はしないという態度を貫き、なんとか地獄のような1時間をやり過ごした。

宿のチェックインを理由にすぐに立ち去ろうとする。

 

別れ際に「ライン交換してよ!」と言われたが、

「あー、ちょっとラインやってないんですよね…」

と、現代の若者とは思えない発言でうまく(?)難を逃れる。

今思えば無理な言い訳だ。

 

結局奢ってもらうことはなく、代金は自分で払いその場を後にした。

 

知らない人に安易について行ってはいけない」

身をもって感じた。

 

夕暮れ

その後、無事にゲストハウスにチェックイン。

 

オーナーさんに宗教勧誘のことを恐る恐る話すと、どうやらここ小田原ではよくあるらしい。

なかでもひとり旅をしている若者などがよくターゲットにされるという。

まったくなんてやつらだ。

 

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今日の宿もなんだかいい感じだ。

それから、オーナーさんとしばらく雑談した。

 

なかでも印象に残ったのは英語の話だ。

 

オーナーさんはTOEICのリスニングで満点を取るほど英語に精通しているが、今でも英語圏の人との会話は50〜60%ほどしか聞き取れないという。

それでも英会話に関してはかなりの自信を持っていることが垣間見える。

 

50%、60%で自信を持ったっていいんだ。なんでも完璧を求めすぎるのはよくない。

 

この言葉がなんだかすごく刺さった。

 

思えば、今まで学校のテストなどで100点を求めることをしてきたばかりに、いつの間にか完璧主義になっていたのかもしれない。

もちろん上を目指すことは大事だが、こんな考え方があってもいいのではないだろうか。

 

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その後は、近くの弁当屋に夜ごはんを買いに出かけた。

夕暮れがとても綺麗だった。

 

今日は箱根を越え、宗教勧誘に遭い、学ぶことも多かった。

とてもとても濃い一日だった。

 

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距離69.4キロ、獲得標高1007メートル